
プロが教えてくれる 家事がラクになる「キッチン収納」のコツ
「毎日のことだから、やっぱり使い勝手のよいキッチンで家事がしたい」と思うのは当然のこと。そこで、使い手の立場に立ち、機能と見た目の美しさをバランスよく考えてリフォームを提案するアイランド・アルファの島田さんに、具体的にどのような方法があるのかを教えていただきました。 写真提供:アイランド・アルファ

アイランド・アルファ 代表
島田 佳代子さん
小規模な仕上げ変更から大規模改修まで幅広く提案。新築マンションの実績も豊富な同氏が手がけるリフォームは、機能の充実とともに、使い勝手と美しい「部屋の顔」をあわせ持つ。
身長とキッチンカウンターの高さ
キッチンカウンターの標準的な高さは、床から85〜90cmを目安とし、小柄な方の場合は80cm程度に設定するのがおすすめ。カウンターの天板から吊戸棚までの間を50cm確保すれば、炊飯器やポットのふたの開閉にも支障がない。家電から出る湯気の逃げ道はチェック。
吊戸棚は使う人の手が楽に届く高さに
吊戸棚の下端を床から135cmの高さに設定した事例。日本人女性の平均的身長の場合、130cm〜135cmが自然に手が届く高さの目安。手の上げ下げにハンデのある方の助けにもなり、下1段目だけでなく2〜3段目の棚にまで手が届くようになれば収納量が増える。
ハンディゾーンは広くとって使い勝手よく
ハンディゾーンとは、直立した状態で自分の手が届く範囲または手が届きやすい範囲のことをいいます。体測してみると、床から高さ130〜135cmのラインが最も手が届きやすいと感じられる方が多く、このゾーンに使用頻度の高いものを収納できると、コンパクトな空間であっても作業効率が格段にアップします。
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奥行きは浅く&間口は広く
キッチンと隣接する場所に大きな収納スペースを設けた事例。奥行は30cm以内でも十分で、グラスや小鉢など細かいアイテムが「きちんと並び、必要なときに取り出しやすく」は収納の基本。扉を開けた状態にすれば全容が見え、道具選びにも便利になる。
日本の食文化に合わせた収納とは
日本人の食文化は、小皿、小鉢、箸置きなど細々した器が必要です。また四季折々に映えるガラス、陶器、磁器など素材や色、かたちも多様です。これを見やすく収め、使うときに取り出しやすくするには、①まず引き出しを多めに用意する。そして②キャビネットは奥行方向は浅くてもよいので、間口方向を大きくとるのがコツです。そして③大皿類は40〜45cm以上必要となりますので、計画時に手持ち品のサイズ確認をおすすめします。 また、水栓や鍋などの台所用品や手元を隠したい場合は、LD側の立ち上がりを20cm以上に設定するとよいでしょう。「会話には参加したいけど、手元はしっかり隠したい」という人におすすめです。 |
洋食器の収納計画
洋食器をたくさんお手持ちの場合には、ディナーのときの飾皿が33cm、ディナープレートは27cmが大きめアイテムのサイズ目安で、あとは23、21、19、17cmからデミタスC&Sと、小さくなっていきます。ワイン、シャンパンなどをいただくグラス類は、ステム(棒のところ)が長いデザインのものが本格派ですので、棚の高さ方向の調整がしやすい工夫を計画しましょう。 |
キッチンバックに大きな収納場所を確保
憧れのオープンキッチンを「生活感を出さずにスッキリさせたい」と、キッチンバックに大きな壁面収納を造作した事例。お皿やコップなどの生活雑貨はもとより、ミキサーやコーヒーマシンなど使用頻度の高い家電をまとめて収納し、電源も付近に複数設けた。
キッチンバックとの効率的な作業スペース
キッチン背面の食器棚との間を90cm確保した事例。1人分のスペースとして作業しやすい効率的な寸法に設定している。仮に2人以上の方が一緒にキッチンに立つ場合は、回遊動線などをとり、105cm程度のスペースをとると使いやすくなる。
家電とコンセントはセットでプランニング
電子レンジや炊飯器、ケトルなど、使用頻度の高い家電は、日々の生活習慣に沿った動線上に、まとめて収納するのがスマートです。炊飯器、ポットなど、加熱時に電力負荷を要するものは、コンセントの系統をそれぞれ分けておくことが機能面にも見た目のスッキリ感からもおすすめです。 |